アーユルヴェーダの食事法〜体質に適した食事とは〜
いつまでも健康で美しくあるために大切なことは何か。それは、自分に適した食事を心がけることではないでしょうか。万人に良い食事はありません。あなたの体調や体質に適した食事を選ぶことが大切です。それを詳しく教えてくれるのがアーユルヴェーダの食事療法。ここでは、実際に私も変化を実感したアーユルヴェーダの食事に関する理論をご紹介していきます。
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アーユルヴェーダの食事法
アーユルヴェーダの食事法と聞くと、菜食主義やカレーやスパイスなどのインド料理をすすめるものだと思う方が多のではないでしょうか。ここでは、私が実際に効果を実感したアーユルヴェーダの食事療法についてご紹介していきます。
アーユルヴェーダの食事療法とは
私は何気ない食行動を法則として正しく説明してくれるのがアーユルヴェーダであると考えています。
たとえば、仕事や運動で疲れると甘い食べ物が欲しくなりますね。食べるとおいしく感じられ、元気も出てきます。これは、ヴァータドーシャ(エネルギー)の増加によって、甘い食べ物を欲するようになるためです。また、甘い食べ物は、増え過ぎたヴァータを減らしてバランスさせる働きがあります。
このように、私たちが体を動かしたり、仕事をしたりすることができる原動力となるのが食べ物です。そして、食べ物を食べて栄養を摂取したり、力がついたりということは、そういう効果がすべて食べ物のなかに入っているということわかります。自分の体調や体質に適した食べ物を選んで食べること、それがアーユルヴェーダの食事療法です。
食べ物は薬にも毒にもなる
「正しい食べ物をとることが人間を健康に発育させる唯一の方法であり、正しくない食べ物をとることが病気の原因である」
これは、アーユルヴェーダの古典『チャラカ・サンヒター』のなかで書かれている言葉です。まさにその通りではないでしょうか。
薬を口のなかに入れて病気に効くということは、食べ物も同じようにからだのなかで作用するということ。医薬と食べ物は同等であり、医食同源なのです。薬にならない食べ物はなく、どのような食べ物も使い方によって薬として利用できると教えています。
また、食べ物は体内に入ると、消化されて血液、筋肉、脂肪、骨、骨髄、神経、生殖器官の7つの組織要素(ダートゥといいます)となります。さらには、活力素(オージャスといいます)になるのです。感染症が広まって、すべての人が免疫力に興味があると思いますが、このオージャスは免疫力のことでもあります。
つまり、食べると力がつくというのは、筋肉的な力だけでなく、精神力や集中力などすべてが含まれます。一方、十分に消化されなければアーマ(毒素)にもなるので注意が必要です。食べ物は、薬にも毒にもなるため、まさに医食同源であるのではないでしょうか。
食べ物が心身に与える5つの作用
私は、食べ物の心身に与える作用をまとめると以下の5つがポイントであると考えています。
- からだのエネルギーへの作用
- 心への作用
- 組織要素を作る作用
- 活力素を作って健康を増進する作用
- 未消化物を生成して病気を起こす作用
私たちのからだは、動かない物体ではありません。37兆個ともいわれる無数の細胞からできており、その細胞は日々入れ替わっています。
皮膚は1ヵ月、血液は120日、筋肉は200日、骨は2年間で細胞はすべて入れ替わり、わらないのは脳神経細胞などです。つまり、食べ物を変えれば、1~2年後には、自分のからだをまったく作り変えられるということになります。食べ物によって、まったく違った自分になれるというわけです。実際に私も、食事に気をつけることで、疲労を感じることがなくなっただけでなく、前向きに仕事に取り組めるようになりました。
そこで気がついたのは、正しい食生活には、ある程度法則的なものがあるため、それを守ることが大切だということです。その人の体質や体調に合った食べ物の味や質は体調を良くしますが、合わなければ体調を悪化させることもあります。
しかし、体質に合った食べ物だとしても、特定の食べ物のとり過ぎには気を付けましょう。エネルギーバランスを崩す原因になります。
つまり、食べ物がどのようにからだに影響するかを、論理的に理解することが大切です。それを詳しく解き明かしているのがアーユルヴェーダ。私が経営する英国アーユルヴェーダカレッジでは、食べ物が心身に与える作用をよりわかりやすく伝えていくことに力を入れています。
体質に適した食事をする
ここまでご紹介してきたように、アーユルヴェーダの食生活は、体質に応じてドーシャをバランスさせる食べ物をとるというのが基本になっています。では、ヴァータ、ピッタ、カパの体質ごとの食生活はどうあるべきでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
ヴァータ体質に適したおすすめの食事
ヴァータドーシャは、冷性、乾性、軽性、変動性などの性質をもっています。つまりヴァータを増大させないためには、これと反対の性質のものを食べるようにすることが大切です。重く、温かく、油気、湿り気のある食べ物をとるようにしましょう。また、冷たいものは温かくし、乾性のものは油で炒めるなど、調理法もポイント。蒸したり、ドレッシングをかけて食べるのがオススメです。
ヴァータ体質の方に適しているのは、甘味、酸味、塩味の食べ物です。温かいもの、油を含むものを、消化力に応じて食べるようにしましょう。適度な重性のあるものをとることがポイントです。
米、小麦、大豆、豆腐、インゲン、小豆、調理した野菜、温めた乳製品、油(とくにゴマ油)、白砂糖を除いた甘味料、よく熟し甘くて果汁の多い果物、スパイス、肉類、種子類、ナッツなどがいいでしょう。
食事が不規則だったり、あわただしく食べたりすると、ヴァータを乱す原因になります。規則的に食事をとって、ゆったりとした気分で食べることが大切です。胃が重たいなどの理由がないかぎりは、基本的に朝食をとることがすすめられます。
ピッタ体質に適したおすすめの食事
ピッタ体質の方は、強くて効率的な消化力をもち、一般的にどんなものでも食べることができます。消化力が強いので、ついつい食べ過ぎになりがちです。規則正しい食事を心がけ、量をひかえめにしましょう。
ピッタは、熱性、油性、鋭性、動性の性質をもつので、熱い食材はひかえてください。酸味、辛味が強いものの食べ過ぎにも気を付けましょう。
甘味、苦味、渋味の食べ物は、ピッタを冷ます効果があります。冷たい食べ物、サラダ、湯気の立つほど熱くはない食べ物がおすすめです。バターや脂肪は少なめにし、適度に重性の歯ごたえのある食べ物をとるようにします。
米、小麦、大麦、小豆、インゲン、豆腐、生野菜、果物、牛乳、ギー、バター、オリーブオイル、黒コショウ、鶏肉、ココナッツなどがいいでしょう。水分を多くとるようにしてください。
カパ体質に適したおすすめの食事
カパ体質の方は、体液がうっ滞する傾向にあります。カパを増やす甘い食べ物を避けて、バランスさせる渋味のある食べ物をとるといいです。また食べ物は、温めて食べ、量は少なめにするのがおすすめ。脂っぽい食べ物はひかえ、油をおさえた食事にしましょう。つまり、冷性、湿性、油性、重性とは反対の性質の食べ物をとるようにするのが大切です。
蒸したり、ボイルしたり、ゆでたりする調理法よりも、焼いたり、グリルしたり、ソテーにしたりするほうがいいでしょう。温野菜、乾燥した食べ物、スパイスなどを積極的に取り入れてください。
朝食をとることは自由です。朝の心とからだを活気づけるために、ハチミツ、白湯、レモンジュース、ショウガをとりましょう。
ライ麦、大麦、そば、トウモロコシ、豆類、サラダ、葉野菜、チーズ、ギー、アーモンド油、コーン油、ヒマワリ油、生ハチミツ、鶏肉などがおすすめです。
ヴァータ、ピッタ、カパの体質も大切ですが、時間や季節によってドーシャや体調の変化を感じ、食事を調節していくことも大切です。これからアーユルヴェーダの食事方法についてもより詳しくご紹介していきます。