なぜ生きているのか、人生の目的は何なのかと考えることが誰にでもあるのではないでしょうか。また、自分に価値を見出せなくなったり、生きていくのに疲れたりすることもあると思います。ここでは、人生の目的をインド哲学の観点から詳しくご紹介していきます。この人生の目的を意識することで、生きることがシンプルなったり、人生が豊かになったという方もいらっしゃいます。ぜひ、お読みいただき、皆さんの人生に役立てていただければと思います。

インド哲学から学ぶ「人生の目的」

インド哲学の古典『バガヴァットギーター』という書物では、人が生きるうえで追い求める目的を４段階に分けて説明しています。

ダルマ（調和・秩序）
アルタ（財産・安全）
カーマ（愛・喜び）
モークシャ（自由・解放）

以下でひとつずつ意味を確認していきましょう。

ダルマとは（調和・秩序）

ダルマとはヨガの世界では、「任務や義務」という考えが一般的ですが、もう少し広い視野でダルマを見てみると、「調和・秩序」という考えがしっくりきます。インド哲学では、私たちにはそれぞれに与えられた役割があり、それを全うして生きることが幸せだという考え方があります。この役割とは、世界や社会全体の調和に基づいて決められています。つまり、世界や社会が全体としてよい方向に進むために、私たち一人一人が行うべきことを行うということです。

ダルマ的な生き方の例

・あらゆる生命を愛して、平等に幸せに生きられるバランスを見つける。
・全体が正しく未来に進むために、自分が行うべきことを遂行する。
・自分1人のためではなく、周囲と一緒に幸せになる方法を考える、またはそのような行動をとる。

ダルマに反する生き方の例

・自分1人だけが幸せならいい、富を自分1人に独占したいという考え方や行動
・自分の利益のために、他者から搾取する。
・自分や他者を犠牲にするような考え方、行動。

アルタとは（財産・安全）

アルタとは「財産」「富」という意味です。ダルマによって得られた知恵や財産などのことをさします。ヨガを実践している人や、そもそも日本人は財産や富を所有することに対して、消極的になりがちですが、ダルマにより、手にした最低限の食事や家などの財産は安心・安全に暮らしていくため、または人生を豊かにするために必要なものです。例えば、身体を健康に保つために、新鮮な野菜や米を手に入れる、安心して生活できる場所（住居）を確保する、友人との楽しい時間を過ごす、等。。これらを手に入れるために、財産は必要なものなのです。必要以上に財産を所有したがったり、財産に執着したりすることは、アルタに反しますが、心身の安心が守れる程度のアルタは、豊かな人生につながります。

カーマとは（愛・喜び）

カーマは喜びや愛のようなものです。人生の喜びや誰かや何かを愛したり、反対に愛されたりすることで得られる豊かさもこのカーマにあたります。ただし、どれだけ素晴らしい喜びや愛であっても、それに固執してしまうと苦しみの原因となるため、注意が必要です。カーマを享受する際は、ダルマ（調和・バランス）に従うようにしましょう。つまり、ひとつのカーマを受け取るにあたって、全体としての調和がとれているか、何かの犠牲のもとにカーマが成り立っていないかということです。「よい加減」の喜びや愛を意識するとよいでしょう。

モークシャとは（自由・解放）

人生の最終的な目標は、モークシャ（自由・解放）であり、あらゆるしがらみからの解放です。とはいえ、私たちは社会と調和をはかって、ダルマ的な生活を営むことも同時に必要であるため、ここでいう自由・解放というのは、物質的なものではなく精神的なものとなります。また、モークシャや悟りというと、何も感じなくなるということと思われがちですが、そういうわけではありません。カーマ（喜び）に幸せを見出すことは良いのですが、そこに執着して快楽を手放さない、手放せない、またはもっと大きな喜びを欲しがるということが、私たちを苦しめるため、その時々与えられたことに満足し、無いものに固執しないこと「足るを知る」という考えがモークシャにつながります。

いかがでしたか？！このようにしてみると、よくも悪くも極端さが私たちを苦しめているのがお分かりいただけると思います。わがままになりすぎてもいけないし、かといって自分を犠牲にしすぎることもいけない。すべては、調和とバランスということになります。そして、ダルマ、アルタ、カーマ、モークシャの根元にあるのが健康です。アーユルヴェーダは、その健康を守ることを目的とする医学です。ディナチャリア、リトゥチャリア、ラサーヤナなどを通して、健康な人の健康を守る智慧を説いています。

当スクールでは、この智慧を学ぶだけでなく、実践し、クラスメイトに結果をシェアするカリキュラムがとても人気です。お互いにアドバイスをし合うことにより、客観的な視点を持って自発的に、自分の健康を管理する力を養うことができます。ストレス社会と言われる現代、自己管理能力はさらに求められるようになっていくでしょう。アーユルヴェーダの智慧を生活に取り入れ、人生を幸福にするための、健康な心身作りに役立てていきませんか？

 
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